Logiart Glimoreというイラストロジック(ピクロス)ゲームが惜しい出来だったので、記事を書いて問題点を書き起こしたい。私自身はスーパーファミコンのマリオのスーパーピクロスの時代から不定期的にピクロスシリーズを続けている。そして、Logiart Glimoireは初代ピクロスから30年間もピクロスを開発し続けているジュピターによるものだ。シリーズでははじめてsteam版が登場したため、期待してプレイしたのだが…。
感想をこれから書いていくが、厳し目の話が続いている。
設問の出来は良い
この作品には280の問題があり、さらに追加の120程度の問題がある。私自身は標準280をすべてクリアした。針の穴を通すような問題が多く、プレイ熟練者ほどやりごたえを感じる出来栄えと感じた。もちろん初心者向けの設問もあるしステップアップできるようにも作られている。ロジックとして見ると全く問題のないレベルどころか、老舗としての技術力の高さを感じる。素直にすごくて他社はそう簡単に真似できまい。
(設問の出来はプレイ体験にすごく影響する。特に低難易度は多すぎると作業感が強くなり、中高難易度だと逆に難しすぎて廃人向けになってしまっていることもあるが、この作品は30×30/40×30以外はかなり歯ごたえのありつつも時間がかからないように作られていて、なおかつ低難易度がそんなに多くないため良い塩梅と感じた)
プレイ体験を損なうだけのフュージョンシステム
しかし、この作品は余計なものがくっついていた。それがフュージョンシステムだ。問いたパズルはそのまま鍵の一部となり、鍵を組み合わせて新たな問題を開放していくというものだ。それが完全に要らんものと化していた。オートバトルで進めるソシャゲに知育パズルが組み合わさったような不快感というか、高速道路を運転中なのに赤信号で止められるような不快感というか(※高速道路に定期的に赤信号で止められる信号は首都高の美女木JCT、のと里山海道の白尾ICなどいくつかある)。そういうものだった。しかもプレイ後半になればなるほど選択肢が多くなり鬱陶しくもなってくる。無駄に凝っているので正解を見つけるまで何分も探し回ったこともあった。私はロジックを解きたいのであり、よくわからん鍵合わせをやりたいわけではない。
ここまで余計なものがくっついていて台無しにしているゲームは久しぶりに体験したので、こうやって記事にまでしている。ゲーム開発者はこのゲームを少し体験しておくと、今後の開発に活きるかもしれない。
こういう作業をやらせても問題ないのはストーリーで客を釣れる場合くらいであり、それもよっぽどストーリーがよくないと成り立たない。代表的なのがFGOというアプリゲーム。今となっては前時代的なシステムでまだスキップもオートもないゲームなのに、奈須きのこ氏のストーリーが読めるというだけでどんな苦行にも耐える人たちが無数にいてじゃぶじゃぶ課金をするためサービスが成り立つどころか大儲けしている。これがストーリーで客を釣れるという場合。
ロジアートグリモワールの場合、エミールというキャラはいるものの特に深いストーリーが展開されることがなかった。Fate級のストーリーを作れは酷すぎるが、キャラの深堀りをしていればフュージョンシステムはもう少し受け入れられただろう。そもそも現時点ではキャラがいる意味がわからない。
他にもゲーム自体が面白い場合も客が釣れそうだが、ロジアートグリモワールは良くも悪くもイラストロジックだ。ここが重要で、どう面白くしようと工夫してもイラストロジックという枠組みで劇的に面白くできるわけがない。よくも悪くも完成しているゲームシステムで、それを提供していることに価値がある。ロジック作ってるだけでは駄目だからなにか付加価値をつけて提供しよう!と考えてしまいそうな事情はわかるが、いらんものをくっつけると既存のユーザーも逃げてしまう。将棋に余計なゲーム要素をくっつけてしまうようなものだ。
実はインターフェースも他社と比べて劣るかも?
個人的に他人におすすめしたいロジックは、ジュピターが出しているピクロスシリーズではない。コナミがスマホ向けに出している「パワパズ」「ピクロジパズル」だ。無料で良質かつインターフェースの優れたロジックをひたすらプレイすることができる。ここと比べても若干操作面で劣るかもとは思った。ただ私自身はそこまで不満には思っていない。フュージョンの問題が100とするならそこは1か2くらいの些事だ。
他にもsteamではPictopixというゲームがあるが、それもジュピター製より操作感が良い「らしい」(私自身は未プレイで、個人の感想を見た)。その点もジュピターが「ピクロス」専業かつ創始者なのが影響しているのかもしれない。任天堂系ハードウェアでだけやってきた弊害が出ているのかもしれないが、個人的には別に今のままの操作性でも問題はないと思っている。それよりも当ゲームにおいてはやはりフュージョンシステムが駄目すぎるので、なんとか改善はしてほしいところだ。もう私は全問やってしまったんで今更改善されても遅いのだが。
ここまできつい感想はSwitchではなくSteam版をプレイしたからこそかもしれない。なぜならばジュピターはSteamではこの作品しか出していないから。通常のピクロスシリーズ(ピクロスSなど)との差別化を図ってこのゲームシステムにしたのかもしれないが、Steamだけで見るとこの作品しかない。あくまでSteamでのロジックゲームだけで判断するなら、設問自体は結構優秀なのだが他をプレイしたほうがよいという判断になってしまう。他のベーシックなものをSteamで出してからこれを出せばよかったのかもしれないが…大人の事情が邪魔をしていそうだ(というか商標の問題だろう)。ここの作品はsteamで買うな、Switchでやれと言われたら元も子もないので、後継機を待とうとしていたのをとりやめて現行有機ELモデルを購入した(もちろんそれだけが購入動機ではないが)。今後他作品をSwitchでプレイするつもりだ(3DSのピクロスシリーズはプレイしていたが、私の体質上「液晶」画面を見ると目が痛くなるので途中で断念していた)。
イラストロジックは、プレイしながらノベルゲームをプレイするのに向いている
個人的にはイラストロジック・ピクロスというゲームジャンルはプレイしながらAudible作品を聞いたり、ノベルゲームを進めたりするのに最高に向いている。他にそういうジャンルがないが調査をしてはいるが、イラストロジックが一番いい。ピクロスは任天堂系ハードで山程出ているので、この機会に全てプレイしておきたい。ただ最難関はゲームボーイ版。一応GBCは所有しているが、電池を入れ替えないといけない。あとニンテンドーパワー版。一応ニンテンドーパワー用のカセット自体はあるが、それに現存しているかがわからない。なかったら詰む。たぶんトラキア776が入っている気がする。